理事長よりご挨拶

葛飾北斎、歌川広重に代表される日本の“浮世絵版画”はヨーロッパをはじめ海外で高く評価され、19世紀印象派の画家たち以来、少なからぬ人々に影響をあたえてきました。みずみずしく躍動する江戸庶民の生活、繊細かつ豪胆を極めた筆致、簡潔にして艶やかな色彩感覚。そして、それを紡ぎ出す匠たちによる伝統木版の技術。すべてが今日なお、世界中のファンを魅了してやみません。

私は長年にわたり、伝統木版画の技術保存、技術者育成、また現代版画への展開、啓蒙普及などに微力を尽くしてまいりましたが、 平成6年7月、(財)アダチ伝統木版画技術保存財団として文部科学省文化庁の認定をいただき、財団としての活動を始めました。財団設立から20余年が過ぎ、技術者育成など少しずつですが成果も出てまいりました。今後更なる伝統木版画の技術保存と啓蒙普及に努力する所存でございますので、変らぬご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申しあげます。

公益財団法人アダチ伝統木版画技術保存財団
理事長 安達 以乍牟