現代の浮世絵・国際創造プロジェクト
現代の浮世絵・国際創造プロジェクト
【企画主旨】
300 年の歴史に支えられ今日まで継承されている伝統木版画技術は、大衆メディアであった浮世絵の制作技術として発展しました。江戸時代、人気役者や町娘、日本各地の名所や身近な風俗を題材に描かれ、大流行しました。伝統木版画技術は、大衆のニーズに応え〈速く〉〈大量に〉〈美しく〉を実現する印刷技術として高度化し、その表現は洗練されていきました。そして、山桜の版木・手漉き和紙・水性絵具など日本独自の素材を使うことにより独特の質感が生まれ、世界に類を見ない技術として発展したのです。その豊かな線、鮮やかな色彩、自由な発想の構図はモネやゴッホをはじめとした世界のアーティストに影響を与え、そして今なお日本文化の代表として国内外で高く評価されています。
アダチ伝統木版画技術保存財団は、日本独自の木版画技術を後世に保存・継承すべく1994 年の設立より、伝統木版画の制作技術に関する研究などの奨励と保存、技術者の擁護育成、その成果及び技術等を広く一般に紹介する啓蒙普及等の活動を国内外において実施しています。しかしながら、この仕事に従事する職人の年齢も上がり、人数も数十名 程度に減少し、伝統技術の継承が危ぶまれています。
そこで、技術を高いレベルで保存し、次代に継いでいくためには、浮世絵版画の復刻を基本としながらも、「浮世=今」という時代を反映し、人々に広く受け入れられる新たな「現代の浮世絵」を制作・出版することによって、伝統技術を活用し、魅力ある仕事を創出することが必要だと思われます。
本企画では、世界で活躍するアーティストの方々に伝統木版画技術を使った新しい芸術表現に挑戦していただき、伝統木版画技術のもつ唯一無二の魅力と、現代における可能性を世界に示したいと考えています。また一方で、アーティストの方々がもつ多様な感性と日本独自の伝統木版画技術が融合するという、その真の文化交流から創造された『現代の浮世絵』を展覧会通じて発表することで、世界中の多くの人々にその魅力に触れていただける機会とすることを考えています。
【展覧会情報】
「現代の浮世絵・国際創造プロジェクト」の企画を通じて制作した木版画作品を紹介する展覧会を下記の通り開催いたします。
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浮世絵現代
会期:2025年4月22日(火)〜6月15日(日)
会場:東京国立博物館 表慶館
浮世絵現代展特設サイト >>
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【プロジェクト参加アーティスト】
アグス・スワゲ/アレックス・ダッジ/アリソン・エリザベス・テイラー/アンナ・ラウリーニ/アントニー・ゴームリー/Atsushi Kaga/イケムラレイコ/N・S・ハルシャ/岡田菜美/加藤泉/キキ・スミス/KYNE/クリス・オフィリ/クレア・タブレ/グレン・ゴールドバーグ/塩田千春/白石由子/ジェームス・ジーン/田名網敬一/永井博/名和晃平/ニック・ウォーカー/花井祐介/ベイン・ピーターソン/ベン・アイン/町田久美/マッド・ドッグ・ジョーンズ/マーティン・ワトソン/松本大洋/横尾忠則/李禹煥/リンダ・ヘリット/ロッカクアヤコ/ロバート・ラザリーニ
【メディア情報】
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◆ NHKBS「浮世絵れぼりゅーしょん! 令和の写楽を探せ」
2025年5月10日(土) 18:00-19:29
ナレーター:春風亭一之輔、橋本愛
江戸時代の浮世絵技術を受け継ぐ工房が、ビッグプロジェクトを仕掛けた。国内外の著名なアーティストたちが新作で浮世絵に挑戦。 はたして、令和の蔦重のもとから令和の写楽は生み出されるのか?
https://www.nhk.jp/p/ts/6QLZ93RP31/
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ぜひ、ご覧ください。