第9回(平成29年)アダチUKIYOE大賞 結果発表!

沢山のご応募ありがとうございました。公募の結果は、下記の通りとなりました。

【 第9回アダチUKIYOE大賞 結果 】

募集期間 2017年7月5日より2017年12月24日まで
募集内容 応募要項(2017年)のページ参照
応募点数 82点

応募者データ [居住地] 日本、アメリカ

選考委員 小山登美夫(ギャラリスト)

三井田盛一郎(東京藝術大学 美術学部絵画科 准教授)
山下裕二(明治学院大学 文学部芸術学科 教授) 敬称略・五十音順
安達以乍牟(当財団理事長)

審査方法

9回目を迎えた今回は、これまでのテーマを設けた作品およびポートフォリオの募集から、「現代の浮世絵を描く才能のあるアーティストを発掘する」という本公募の原点に立ち戻り、制作した作品を紹介するポートフォリオの募集に変更し、審査を実施いたしました。
応募者の画風や力量、日頃の制作活動の成果により重点を置いて総合的に審査をし、現代の浮世絵師としての可能性を秘めた方々を選出いたしました。
今回の受賞者2名には、主催者との打合せの後、新たな作品の版下絵の作成に取り組んでいただく予定です。

受賞

大 賞 賞金 30万円+現代の職人の技で木版画として制作(完成した木版画を進呈)

 宮﨑 優
優秀賞 賞金 15万円+現代の職人の技で木版画として制作(完成した木版画を進呈)

 奥村 彰一
佳 作 賞金5万円

 愛甲 次郎

 岸 雪絵

 

【 大賞 】 宮﨑 優

宮崎優
宮崎優
© You Miyazaki

[選考者のコメント]

今回の応募作品の中で群を抜いた画力が注目を集め、満場一致で大賞に選出されました。描線の美しさが際立った本格的な現代美人画からは、奇をてらわず、素直に自分が描きたいものを描いている印象を受けました。木版画になることで、さらにその魅力を感じられる作品になるのではないかと、大いに期待しています。

 

【 優秀賞 】 奥村 彰一

奥村彰一
奥村彰一

© Shoichi Okumura

[選考者のコメント]

中国に古くから伝わる年画のエッセンスを取り入れた、独自の世界観が高く評価されました。カラフルで華やかな色遣いや、絵づくりをよく理解している画面構成からは、応募者の力量の高さを感じました。木版画ならではの効果が十分に期待ができ、面白みのある作品が生まれる予感がしています。

 

【 佳作 】 愛甲 次郎

愛甲次郎
 

© Jiro Aiko

[選考者のコメント]

雲肌麻紙に墨と鉛筆のみで表現されたシンプルな画風に魅力を感じました。支持体に工夫を凝らすことで作品に面白みが増し、アーティストとしてもう一歩先の段階に行ける可能性を感じました。

 

【 佳作 】 岸 雪絵

岸雪絵
 

© Yukie Kishi

[選考者のコメント]

他の受賞作品とは、タイプの違う画風が印象的でした。モチーフを緻密で丁寧に、且つ素直に描いている点に好感が持てました。

 

選考にあたって

[総評]

今年度、ポートフォリオに掲載された複数の作品を見ることで、作家の個性や能力をより具体的に把握することができました。また、告知のポスターやチラシにおいて、受賞者の作品がプロの彫師・摺師の技術によって木版画作品になるという部分を全面に押し出したことから、木版という表現手段に興味を持っていただき、自分の作品が木版画になったらどんなであろうかと思いめぐらせながら応募いただいた方が多くいらしたようです。

テーマがなくなったことから題材ではなく、作家その人に焦点があたり、作家としての画力、そして木版を使うことによって生まれる魅力、さらなる可能性を感じさせてくれる作家かどうかということが審査の中心となりました。

来年度以降は、ポートフォリオ審査を継続して行うと同時に、受賞者と制作する木版画が広く一般に評価をされることにより、木版がもつ表現の可能性に応募者の目が向くような公募にしてまいります。

 

審査風景