第10回(平成30年)アダチUKIYOE大賞 結果発表!

沢山のご応募ありがとうございました。公募の結果は、下記の通りとなりました。

【 第10回アダチUKIYOE大賞 結果 】

募集期間 2018年7月17日より2018年12月25日まで
募集内容 応募要項(2018年)のページ参照
応募点数 62点

応募者データ [居住地] 日本、香港、アメリカ

選考委員 小山登美夫(ギャラリスト)

三井田盛一郎(東京藝術大学 美術学部絵画科 准教授)
山下裕二(明治学院大学 文学部芸術学科 教授) 敬称略・五十音順
安達以乍牟(当財団理事長)

審査方法

10回目を迎えた今回は、「現代の浮世絵を描く才能のあるアーティストを発掘する」という趣旨から、昨年度同様、制作した作品を紹介するポートフォリオの募集とし、審査を実施いたしました。
応募者の画風や力量、日頃の制作活動の成果により重点を置いて総合的に審査をし、現代の浮世絵師としての可能性を秘めた方々を選出いたしました。
今回の受賞者3名には、主催者との打合せの後、新たな作品の版下絵の作成に取り組んでいただく予定です。

受賞

大 賞 賞金 30万円+現代の職人の技で木版画として制作(完成した木版画を進呈)

優秀賞 賞金 15万円+現代の職人の技で木版画として制作(完成した木版画を進呈)

長友 由紀
第10回記念特別賞 賞金10万円+現代の職人の技で木版画として制作(完成した木版画を進呈)

石松  チ明

 

【 大賞 】 洵

洵
©June

[選考者のコメント]

純粋な画力の高さ、そして、絵のもつ雰囲気の良さが際立っていました。木版を意識したレベルの高い作品を、コンピュータで制作している点も高い評価につながりました。人物画にも胸に迫る魅力がありますが、風景画を木版にした場合には、叙情的な作品に仕上がるのではないかという期待感があります。

 

【 優秀賞 】 長友 由紀

長友由紀
© Yuki Nagatomo

[選考者のコメント]

染物ならではの色のきれいさ、鮮やかさが目を引きました。友禅染めによる作品ということ、また、題材のユニークさも選出の理由です。染色作品を元に木版を作るという新たな試みによって、今までにはない面白みのある作品が生まれる予感がしています。

 

【 第10回記念特別賞 】 石松 チ明

石松チ明
 
© Chiaki Ishimatsu

[選考者のコメント]

他の応募者たちにはない、独特の発想が印象的でした。少ない色数でうまく画面を構成し絵を見せており、白と黒のコントラストが際立つ作品です。浮世絵にはあまり見られない色遣いで、現代の浮世絵としてよい試みになるのではないかと思います。また、不美人画という、一種卑屈でありながらも不遜な印象すら与えるテーマは、浮世絵にふさわしいように感じました。

 

選考にあたって

[総評]

前年から引き続き行ったポートフォリオによる審査は、作家の能力や個性を具体的に把握できる大変よい方法であることが再確認されました。また、昨年の大賞受賞者が、本年度に入り活躍の場を広げていることも、本公募にとって大変喜ばしいことです。告知面では、受賞者の作品がプロの彫師・摺師の技術によって木版画作品になるという部分を全面に押し出したことで、木版画になるということを意識した応募をしてくださる方が多くいらっしゃいました。
来年度以降は、さらなる応募数の増加をはかるため、海外のコンペサイトなどへの掲載も考えつつ、引き続き作家そのものを知ることのできるポートレート審査を行ってまいります。

 

審査風景