現代の美人画誕生!絵師・池永康晟氏「散菊・沙月」の制作に迫る

木版画制作監修

魅惑的な現代の美女を繊細な描線と独特の色彩で表現することで人気の画家・池永康晟氏が絵師となり、浮世絵制作技術を今に継承する彫師・摺師と共に創造した初の美人画が完成しました!歌麿をはじめ、多くの美人画を生んだ伝統木版技術を駆使しながら、今を生きる池永氏の美女画の世界を表現することに挑戦しました。ここに、本作品が完成するまでの制作の様子をご紹介します。

美人画の場合、顔の輪郭や表情を決める”線”が作品の中で大変重要な要素です。浮世絵の場合も同様で、絵師が描いた線を忠実にそしてより優美に彫ることにより作品の魅力が引き出されます。今回の作品も、彫師は線にかなり注力しながら彫り進めたようです。

彫師・岸によると「今回池永先生の原画は、麻を染めたものを素材として細い輪郭線の下に薄く色の線が描かれていました。木版でどこまで再現するかでしたね。」今回、肉筆作品とは違う木版画のオリジナルを作るということをコンセプトにしていたので、ここは浮世絵のように1本の線だけで表現することにしました。

そして次は、摺の工程へ。摺師は、手漉きの和紙に一色ずつ色を摺り重ねていくのですが、摺師・京増に本作品のポイントを聞くと「やはり美人画は顔が命ですから、線の強弱は結構気にしてましたね。」とのこと。顔の輪郭や髪の毛、そして目の輪郭線や涙袋の線を繊細に彫り分けた主版(おもはん)から、美女の物憂げな表情が見事に表現されています。

そして、今回制作の中で検討を重ねた箇所が女性の肌です。校正段階で、原画と同じ肌の部分に薄く肌色を入れたものとは別に、浮世絵の美人画と同じように顔や手の部分には色を入れずに和紙の柔らかさを残したものも用意してみました。

校正を確認するため工房へ来ていただいた池永先生に、摺師からもご説明を。すると、「原画と同じ色味の良さもあるけれど、木版でのオリジナル作品ということを重視して、和紙の柔らかさを活かした方でいきましょう」とお話いただき、方向が決定しました!原画と同じ色味の校正作品には、正直、安心感はありましたが、池永先生にもオリジナルであることにこだわっていただき、新しい表現への挑戦をした結果、とても素敵な作品が完成させることができました。