アダチUKIYOE大賞 受賞者インタビュー
第9回優秀賞 奥村彰一さん PART2

UKIYOE大賞
PART2 制作編
Q. 実際の木版制作において、職人とのコラボレーションはどうでしたか?
◆彫について
自分の作品の線は、清末民初の中国の作家の線を基にしているのですが、かなり自由奔放で、墨溜まりやかすれなどを駆使した抑揚のある線が、どのように浮世絵として表現されるのか興味があったのですが、まるで彫り上げたものとは思えないほどの高い技術力で、忠実に再現されていて、大変驚きました。

◆摺について
回数に制限があるということは伺っていたのですが、原画制作の段階ではそれに囚われすぎることなく、自由に制作をさせて頂きました。
浮世絵におこした際の色選びの段階から、何度か打ち合わせをして頂き、ポール・ジャクレーのような配色を参考に制作を進めて頂きました。

◆ディレクションについて
ディレクション担当の方が、色々な例をとり丁寧に説明をして頂いたお陰で、自分の期待していた表現まで導いて頂いたように感じています。
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摺りあがったアウトライン。奥村さんの抑揚ある筆の動きを再現。

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昭和初期に伝統木版技術を用いた木版画を多く残したフランス人画家。独特の色づかいが魅力的である

<制作の工程 彫~摺~完成まで>
受賞後の制作については、受賞者とディレクターがどのような作品づくりをするかを打合せ、新たに木版画用に作画をしていただいています。作画の際には、浮世絵版画の特徴ともいえる省略した表現を目指していただいています。作画いただいたものを拝見しながら、どのように版を作っていくかを作家そして彫師、摺師と話し合い制作していきます。

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Q. 完成してみての感想
期待以上のものでした。
正直、墨と岩絵具で表現された作品を、ここまで美しく浮世絵として表現して頂けるとは思っていませんでした。墨のしなやかな線は、墨溜まりやかすれ具合までが表現されており、肉筆で描かれたものよりも丁寧且つ躍動しているように感じました。
色合いも、正直もっと暗めになるかと思っていたのですが、まさにポール・ジャクレーのような明るく爽やかで、尚且つどこかに年画とも通じる色彩を感じました。
荒い岩絵具で描いた木肌も、見事に浮世絵として表現されていて、驚きました。

制限のある中で、これほどの表現をして頂けたことを、大変嬉しく、光栄に思います。

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Q. 今後の活動の中で木版という表現方法についてどう考えていますか?

ここまで表現出来るのだという高い技術を、より多くの人に知って頂きたいです。浮世絵自体は多くの人が目にしたことがあるとは思いますが、その表現の過程には、非常に高度な技術や技法があり、思っても見なかった表現にも繋がっていくのだということを、知ってほしいです。僕もまた機会があれば、新しい作品を制作して頂きたいと思っています。

奥村さんの木版画作品は、昨年度の賛助会員向け進呈作品にさせていただきました。奥村さんの独特な色遣いが木版画で表現されることで、これまでにない新しい浮世絵の世界が生まれました。
是非、奥村さんに続く「現代の浮世絵師」がたくさん生まれることを楽しみにしています。
今回は、お忙しいところ、インタビューにお答えいただきありがとうございました。
益々のご活躍をお祈りしております。
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奥村彰一 略歴
1989年 中国、北京市生まれ。
2009年多摩美術大学日本画科入学後、2011年に北京の中央美術学院へ留学し、中国画を学ぶ。
2017年多摩美術大学美術研究領域日本画専攻修了。
多摩美術大学日本画研究室副手を経て、現在画家として活動中
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2015  Face2016 損保ジャパン日本興亜美術賞 入選
2016  トーキョーワンダーウォール2016 石原慎太郎賞
2016  個展 奥村彰一展 – 桃源小旅行-  (Shonandai MY Gallery/東京)
2017  第20回岡本太郎現代芸術賞 入選
2017  Art Award Tokyo 丸の内2017 フランス大使館賞/今村有策賞/丸の内賞
2017  個展 奥村彰一展 -洞天風味- (The Artcomplex Center of Tokyo/東京)
2018  第9回アダチUKIYOE大賞 優秀賞
2018  ART TAIPEI 台北國際藝術博覽會 2018に出品
2018  個展 奧村彰一展 -園林漫遊 -(Imavision gallery/台北)
2019  Art Fair Tokyo 2019 に出品
2019  個展 奥村彰一展 -逍遥花園- (清アートスペース/東京)
2019  ART TAIPEI 台北國際藝術博覽會 2019に出品
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