アダチUKIYOE大賞 受賞者インタビュー
第9回大賞 宮﨑優さん PART1

UKIYOE大賞
平成21年度から始まった本財団の絵師募集の公募「アダチUKIYOE大賞」が今年、第11回目を迎えます。本公募は、北斎や広重といった江戸時代の浮世絵師のように、その時代を反映した魅力的な作品を描く才能を発掘することを目的としています。それは、私ども財団が保存継承に努める伝統木版技術の彫師・摺師の育成と共に、この技術を活かしたオリジナルの木版画作品を生み出していただく絵師の方の存在が重要と考えているからです。

本公募は、大賞・優秀賞を受賞した方へ賞金が授与されるだけでなく、受賞後に、現代の彫師・摺師と共にオリジナルの木版画を制作する機会が得られます。制作された木版画は、商品として出版したり、財団の会員向けの進呈作品となったりと広く一般の方の手に渡る可能性もあります。

応募を検討されている方に本公募のもつ可能性をもっと感じていただきたいという思いから、実際応募し、木版画制作をご経験いただいた過去の受賞者に「アダチUKIYOE大賞の魅力」を語っていただきました。

まず、第1回目は、第9回の大賞受賞者 宮﨑優さんにお願いしました。
宮﨑優さんは、2015年頃から独学で日本画の制作を始められ、2018年の春に本公募で大賞を受賞した後は、グループ展や個展、そしてテレビ出演など、益々活躍の幅を広げておられます。

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完成した木版画作品宮﨑優「花ざかり」

宮﨑優 略歴
1973年大阪市生まれ
大阪府立港南高等学校美術科卒業。2011年に初の個展を開催。鉛筆・色鉛筆・アクリルと様々な画材で制作を続け、2015年より独学で日本画の制作を始める。2016年に画集「美人画づくし」に掲載されるなど美人画作品の発表を重ね、2018年3月に「第9回アダチUKIYOE大賞」大賞受賞。2018年10月に宮﨑優展「兆し」(ギャラリーアートもりもと)・2019年5月に宮﨑優日本画展「四季彩」(ギャラリー北岡技芳堂)開催。無所属。
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PART1 応募~受賞編
Q. まず、本公募にご応募いただいたきっかけは?
これまで、和装の美人画を描く際、「型染」の着物を筆で描いていくとどうしても色むらが出て、その色むらをなくすために絵具を重ねると顔料の層が厚くなってしまい、「型染」の持つ雰囲気がなかなか出せずに苦労していました。どうすれば絵の中で着物の美しい「型染」の表現ができるのか?日本画材で試行錯誤している時に、たまたま浮世絵を見る機会があり、色むらのない「摺り」の美しさに惹かれました。これは、着物の「型染」に通じるところがあるのではないか、自分の思う表現が木版画で出来るのではないかという思いで、アダチUKIYOE大賞に応募しました。

また、現在お世話になっている画廊さんからもこれまで私に受賞歴がないので、全国公募で受賞がとれると良いねというお話しがあったこともきっかけになっています。応募するなら、アダチUKIYOE大賞に!と思っていました。

Q. 応募の際気を付けたことは?
私が応募をした回から、テーマはなくなり、ポートフォリオのみの審査になったので、A4の印刷でも自分の作風、着物が美しく描かれたものを特に選びました。
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応募の際の「ポートフォリオ」からの一図


Q. 受賞の時のお気持ちは?
大賞をいただいた時には、生まれて初めての受賞でしたし、全国公募のものでしたので大変嬉しかったです。当時は、山口県におりましたが、是非、表彰式に行きたいという気持ちでいっぱいでした。そして、木版画の限られた線と美しい面で表現される世界を、自身の作品で見てみたいという思いが叶ったことに喜びもひとしおでした。
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素敵な着物姿で臨まれた表彰式

Q. その後作家活動に影響は?
審査員をされている山下裕二先生に自分の作品を見ていただいたこともあり、大賞受賞後には、NHKのドラマ「浮世の画家」の劇中画制作の機会をいただきました。また、個展の中で、肉筆作品だけでなく、完成した木版画作品も出品することができたので、色々な表現の可能性をお客様に知っていただくことができたのは、とても良かったです。
>>PART2 制作編に続く
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