令和元年度賛助会員向け進呈作品
石松チ明さんインタビュー(第10回アダチUKIYOE大賞 特別賞) Part2

UKIYOE大賞
PART2 制作編
前回のインタビュー(Part1)では、石松さんがアダチUKIYOE大賞のご応募のきっかけから受賞までについてご紹介させていただきました。今回Part2では、木版画「甘ったれ Sweetie」の制作についてご紹介してまいります。

前回Part1のインタビューの中で石松さんがイギリス人画家の“オーブリー・ビアズリー”に影響を受けているお話をされていましたが、彼の作品を彷彿とさせる“ペン画タッチの描線”がまさに石松さんの作品を特徴づけるものになっているように思います。 今回、その特徴をうまく木版でも出せるように、一番注力した彫の部分について、彫を担当した若手彫師・中澤に話を聞いてみました。

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アウトラインを彫る様子(彫師:中澤博美)


Q. 今回、石松さんの作品を彫ってどうでしたか? 彫で工夫したところ等を聞かせてください。
A. 彫師 中澤
筆で描かれた線とは異なる均一な線の細さを意識して彫りました。また、石松さんの作品は、顔や指先など肉の厚みを描いているように感じましたので、丸い額や厚い唇、細い髪などの質感を表現できるように気をつけました。
3色だけで構成されるシンプルな絵なので、色面の対比で自分の彫った線が際立って嬉しい反面、線を彫る緊張感もありました。無事に仕上がって、安心しました。

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“不美人画”を特徴づける線の彫

石松さんの手掛ける“不美人画”の特徴ともいえるのではないでしょうか。是非、中澤のこだわりの彫で生まれた線にもご注目いただければと思います

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背景を摺る様子(摺師:沼辺広伸)


Q. 今回、木版画として完成してみていかがでしたでしょうか?
A. 石松さん
木版画ならではの風合い、職人さんの技術の高さにただただ感服しました。石松家の末代までの家宝です。祖父、敏弘の仏壇に飾ります。

そして、本作では「愛おしいものはその愛しさゆえに噛み潰したくなる」という衝動を絵にしました。生に繋がる愛と死に向かわせる暴力、相反する二者の同居にギュンギュンしていただけたら幸いです。



Q. 今後の活動の中で木版という表現方法についてどう考えておられますか?
A. 石松さん
版画に魅せられすぎてもう自分で彫って摺りたいくらいです。ただ実際のところそれは難しいので、絵師として葛飾北斎レベルの知名度になって改めてアダチさんに作品を木版画化してもらえるよう画業を頑張っていきたいです。
この度は素敵な賞と最上の副賞を本当にありがとうございました。

今回、石松さんの作品を木版画として制作する中で、独特なペン画タッチの線に対し、いかにこだわりをもって描かれているのか、ということを実感しました。まさに、凸版である木版が得意とする“線”を最大限に活かすことができたのではないでしょうか。和紙に薄い墨の線で摺られた線を是非間近でお楽しみいただきたいと思います。
賛助会員(年会費2万円)にお申し込みいただいた方に、進呈させていただいております。 >>賛助会員のご案内
石松チ明 略歴
1994年 静岡県浜松市に生まれる。
2012年 成蹊大学法学部に入学、司法試験を志すも、絵の道へ。以降、不美人画家として活動。
2017年 初個展「初不美人画展」
2018年 池袋アートギャザリンク2018 栗原画廊賞
2018年 個展「不美人画家展2」
2018年 KENZAN2018 みうらじろうギャラリー賞
2018年 美術新人賞デビュー2019 入選
2018年 第10回アダチUKIYOE大賞 第10回記念特別賞
2019年 個展「不美人画家展3」
2019年 個展「不美人画家展 東京」
2019年 ペーターズギャラリーコンペ2019 大賞(上田三根子賞・藤田知子賞)
七味
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